7月17日(火) 三田サロン
”「タイ国内の子どもたちの教育支援とその課題」-スラム、難民キャンプ、農村の経験から-”
2012年7月度三田サロンではNGOシャンティ国際ボランティア会(SVA) アジア地域ディレクターの八木沢克昌氏をお招きして、
『「タイ国内の子どもたちの教育支援とその課題」-スラム、難民キャンプ、農村の経験から-』と言うテーマで講演頂きました。当日は29名の方にお集まり頂きました。
実際にお話し頂きました内容の一部をご紹介します。
■ スラム街全体でのリサイクル活動
バンコクの人口の1/5がスラムに住んでいるという現状の中で、八木沢氏は「クロントイ・スラムを緑でいっぱいにしたい」という思いがあり、「きれいなところにはゴミを捨てない」という考えから、自分の家の周りをきれいにする事から始められました。
徐々にその活動が実を結び、やがて街全体がリサイクル活動を行うようになり、スラム街のゴミが減り、緑の環境が増えていったそうです。
人々が掃除する姿、集めたゴミが卵などの物へ交換されるシステムなど映像を通して、街全体が変革した光景を目にして、感動を覚えました。
■ スラムを中心とした子供たちへの教育支援
八木沢氏は子供たちの未来に必要な事は「教育である」との信念のもと、長らくスラムを中心に子供たちの教育支援を行われております。
その中でも「子供達に本を!!」という事が原点にあり、本を与えるだけでなく、本を読み聞かせるという事を重視されております。
本を積んだ車が1,400ヵ所のスラムを回るという世界に1台しかない移動図書館の話やSVA施設の1階の子供図書館に毎日きて、置いてあった本を全て読破してしまった少女がやがて奨学金を貰い、小学校、中学、高校と飛び級で進みチュラロンコーン大学に進学、その後も米国留学、フランス留学を遂げ、更にはタイ国外務省に入省し、現在は外務省唯一のロシア語のスペシャリストとして活躍されているお話などをご紹介頂きました。
また、当日の飛び入りゲストとして、ラオスの歌姫 アレクサンドラさんにお越し頂き、Kiroroの「未来へ」を歌って頂けました。
アレクサンドラさんはタイ・ラオス両国で音楽活動に従事する一方で、現在、慶應の大学院でマスメディアデザインを専攻中です。
女優歌手業に加え、SVAの活動に賛同し、クロントイスラムを訪れ子供達を励ましたり歌を聞かせたりと積極的に活動を行われております。
また、ラオスではダウン症の人たちを支援する初めての協会を設立されております。
その他のボランティア活動として、世界難民の日の時期に、Jリーグアジアアンバサダーの丸山 良明氏がタイのメラ難民キャンプでサッカークリニックやカレン語と呼ばれる現地の言語での本の読み聞かせを実施されたという内容も伺う事が出来ました。
八木沢氏の話に賛同した我々はその場で募金をする事にしました。
しかし、八木沢氏はそのお金をアレクサンドラさんへお渡しされました。
八木沢氏も「子供たちの事を考えると、お金はのどから手が出るほど欲しかったが、アレクサンドラさんが立ち上げられたばかりの協会のために使って欲しい」というお言葉が印象的でした。
今回は今後、バンコク三田会はどのような形でボランティア活動に寄与できるかを考えさせられる良い機会となりました。